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排尿を長時間我慢した後の尿の泡立ちが凄いのは病気?

尿の泡立ち

薬局でのご質問
普段は全くそんな事はないのに、講義などで長時間排尿を我慢した後にトイレに行くと、尿がすごく泡立っていて心配になります。
これって何か病気なのでしょうか?

まず病気のサインとしての尿の泡立ちですが、
1、蛋白尿・・・血糖値が高い、高血圧、小麦グルテンなどの未消化のタンパク等で腎の濾過機能である系級体に傷が入り炎症を起こす事で、本来尿中に漏れないはずのアルブミンなどのタンパクが漏れてしまう。
タンパク尿は界面活性作用が強いため、ビールの泡のようなきめの細かな泡立ちがなかなか消えずに長時間持続する傾向があります。
尿自体も白っぽい濁りを伴うこともあります。
2、尿糖・・・血糖値が高い状態が続くと、腎臓が糖を再吸収しきれず、糖が尿に排泄され尿の粘稠度が高まって泡立ちます。
泡の特徴は大きく蛋白尿ほど持続しません。
尿糖があると、甘いケトン臭を伴います。
3、膀胱炎など尿路感染症による細菌、炎症性タンパク、白血球などが泡立ちをもたらします。
この場合、排尿痛、頻尿、残尿感、出血などの症状を伴います。

さて、これらの病気がなくても、長時間排尿を我慢することで、尿の濃度が濃くなり、尿に含まれるウロビリノーゲンの界面活性作用により、泡立ちやすくなります。
ウロビリノーゲンは尿検査で測定される物質で、正常な人でもわずかに尿中に排出されます。
古くなった赤血球が脾臓や肝臓で壊され、ヘモグロビンがビリルビンという黄色の色素に変わります。
ビリルビンは胆汁として腸に送られ、腸内細菌によりウロビリノーゲンに分解され、主に大便に排泄されますが、ごく少量が腎臓を経て尿中に排泄されます。
ウロビリノーゲンは、多いと肝炎や溶血性貧血、少ないと胆道閉塞などを知る手掛かりとなります。
ウロビリノーゲンによる尿の泡立ちはキメが粗く、比較的早く消失するのが特徴です。
排尿時にいつも泡立つのでなく、長時間排尿を我慢した時だけに見られるのであれば、病気というよりは、一時的な生理的現象と捉えて良いかと思います。

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