はじめに

 

アトピー性皮膚炎は、東洋医学的にみると体の内部が非常に冷えて虚しているにもかかわらず、外部(皮膚の部分)は、熱をもってひどい炎症を起こしアンバランスな状態になっています。
根本の原因は、胃腸の能力の低下による免疫バランスの乱れと、食毒によるおけつが生じていることにあり、体をあたためて、血流をよくしてあげることがとても大切なのです。ところが、体表面である皮膚に激しい炎症があるため、これらの治療を行うと、著しいかゆみが発生し、炎症の増悪がみられることが、アトピー治療の難しさです。

 

アトピー性皮膚炎の治療方針は、大きく二つに分かれています。
一つは、適切な強さのステロイド剤や、プロトピック軟膏を用いながら、症状を抑えてコントロールしてゆく方法です。
そしてもう一つは、ステロイドの解毒排泄を行い、最終的には何も使わなくても大丈夫なところまで持ってゆく方法です。このどちらの方法を選ばれるかは、悩んでおられる方の考え方次第だと思います。

私の保健室では、ステロイド剤や、プロトピック軟膏などの免疫抑制剤を用いずに、清熱解毒法により、抗炎症と解毒排泄能力を高め、最終的には何も使わなくても普通の肌を維持できる状態を目標としています。
そして、今までかなりの期間、強力なステロイド剤をつかってきた方でも6ヶ月~1年を目安にしていただければ、多くの方が、ステロイド離脱をして、きれいな皮膚が再生されてくるところまできています。
ただし、ここまでくるには、食養生、生活養生、心の養生、スキンケアなどの自助努力が非常に大切になってきます。
アトピー性皮膚炎は、受験、進学、就職、結婚、出産など、環境が変わりやすい人生の節目と、ストレスを抱え込んだときに再燃しやすい性格をもっています。ですので、このような状況においても再燃させずにのりきるためには、養生の部分をしっかりと身につけていただくことがとても大切なのです。

私の薬局保健室は、平成三年より行っていますが、当時はまだアトピー性皮膚炎をはじめ、いろいろな湿疹などにもステロイド軟膏を使っていました。
同時に、つらい症状への対応や、根本改善として漢方処方を用いていましたが、ある程度のところまでいっても、再燃を繰り返したりして、アトピーに対して完治させる自信がもてませんでした。これが、ステロイド軟膏を使っていたせいであることは、その後何年もたってからわかってきました。
ところが、ステロイド離脱をかけると、ものすごいまでの症状がでて、ご本人は大変な苦痛を強いられることになります。職場にも、学校にも症状がひどくて行けなくなってしまった方をみてきました。補助的に漢方薬を使ってもなかなかうまくいかず、模索する年月がたちました。
そして、私がもう一度ステロイド離脱をかけて、アトピー性皮膚炎を根本的に治してゆくことに自信をもつことができたのは、OTCカウンセラーの会という、薬局、薬店の熱意ある先生方との勉強会と、董和先生という、中医師の先生との出会いのおかげです。
董和先生が、中国にて経験的な処方をもとに民間生薬を組み合わせられた食品を使うことにより、脱ステロイドによる症状が驚くほど楽にすむようになりました。
今まで、素手で脱ステロイドを行ってきた方は、いうなれば、メインエンジンを点火せずに、補助エンジンのみでジャンボジェット機を離陸させるような、至難の業だったに違いありません。
何度も、離陸失敗された方もおありでしょうが、もう一度、私と一緒に完治を目指して飛び立ちませんか?ジェット機が、安定して自然に水平飛行できるようになるまで、私が一緒に操縦席にすわります。

 

アトピー性皮膚炎の治し方

私の保健室では、5つのエンジンに点火して、アトピージェット機を離陸させます。

 

  • メインエンジン・・・清熱解毒生薬食品や、養生食品の使用
  • 第二エンジン ・・・スキンケア
  • 第三エンジン・・・食養生法の実行
  • 第四エンジン・・・生活養生法の実行
  • 第五エンジン・・・心の養生法の実行

 

現在、ステロイドを使用中の方や、抗ヒスタミン剤などを服用中の方は、いきなりやめることを決してなさらないでください。まずは併用からはじめ、状態を見ながら少しずつ減らしてゆくことをお薦めいたします。

アトピー性皮膚炎の治り方・・・半年~1年が目安です
長い間、ステロイド剤を使用した人では、ステロイド離脱を行うのに、3つの大きな山を越す必要があります。人によっては、何度もこの山が現れるかもしれませんが、体内の酸化ステロイドが排泄されて、免疫が向上し、治癒に向かっている過程として、前向きに受け止めてください。ステロイドを用いていない人ではもっと早く良くなってゆきますが、治ってゆく順序はほぼ同じと考えてください。

  1. スタート

    痒くてたまらない、赤黒くゾウさんの様な皮膚、引っかき傷であちこちから汁がにじみ出ている。このような状態からスタートです。

  2. 第一の山

    2種類の清熱解毒生薬食品で、体内の酸化ステロイドや、おけつの解毒をはかりつつ、少しずつステロイドの量を減らしてゆきます。

    体内にたまったステロイドが解毒されてゆく時、つっぱり感、ひびわれ、少し動いても黄色い汁が噴出(ニオイの強い汁で、パジャマや布団がぐっしょりする事も)等が現れることがありますが、これは治癒反応の過程です。清熱解毒生薬食品で、便と共に排出させるよう促していれば、ひどい症状は現れにくくなります。この状態が1~3ヶ月ほど続きます。

  3. 第二の山

    最初の山をのりこえ、ステロイドの解毒が進んでくると、黄色く粘りのあった汁が、うすく、サラサラとしてきます。このころ、免疫力の変化により、熱がでたり、しこりがでたり、リンパ腺が腫れてくるような人もあります。これらも、治癒反応のひとつですが、ヘルペスを併発しているときは要注意です。このときは病院で抗ヘルペスウイルス剤を処方してもらわねばなりません。この時期も人によりまちまちですが、1~3ヵ月が目安です。

     

  4. 第三の山

    汁がほとんどみられなくなり、皮膚が乾燥して白っぽく粉がふいてきます。パンツの中、布団の中が、皮だらけになります。お風呂に入っても、白い皮がいっぱい浮いてきます。ここまでくれば、もう少しで、きれいな皮膚が出てきます。しかし、この時期は強烈にかゆいのです。傷でいうと、かさぶたが、自然にはがれる時期、とてもかゆいのと同じです。第三の山では、清熱解毒生薬食品をひとつはずして、皮膚の再生を促すために、プラセンタと、海洋ミネラルを使います。皮がはがれ、きれいな皮膚がでてくるまで、さら

かゆみがとれて、きれいな皮膚がでてきたら、体調を整えてそれを維持せねばなりません。プラセンタや、海洋ミネラルなどの補剤を、安定するまで少量ずつ継続してゆきます。

 

アトピー性皮膚炎の食養生

  1. 食べすぎず、腹6~8分でとどめよう
    アトピー性皮膚炎の方には、食いしん坊さんがたくさんいます。食事の量が多いと、胃腸は、消化吸収に、手いっぱいになり、なかなか解毒排泄モードになってくれません。とくに、だらだらと絶え間なく食べたり、間食でお腹を膨らませるようなことはやめましょう。
  2. 玄米や分づき米などの、精製されていないご飯をなるべく食べよう
  3. ご飯とお味噌汁を中心に、お野菜を中心とした和食メニューを増やしましょう
  4. 合言葉は、孫は優しい子

     

    豆、大豆、納豆、豆腐など
    ごま
    わかめ、海藻類、ひじき、昆布、のり、もずくなど
    淡色野菜、緑黄色野菜、根菜
    (少なめに)魚、小魚
    しいたけ、しめじ、えのき、まいたけなどキノコ類
    いも、さつまいも、じゃがいも、さといもなど
    酵素、味噌、しょうゆ、漬物、納豆などの発酵食品、生野菜


    ただし、これらの食品のなかでアレルギーがある場合は、とらないでください。

  5. お菓子、ジュース、ケーキなどの白砂糖食品を控えよう
    白砂糖は、知覚神経を刺激して、かゆみを増幅します。
    白血球の働きを弱らせ、化膿しやすくなります。
    血液に粘性をもたせ、血の流れを悪くして、皮膚の再生力を落とします。
    筋肉を硬くして、低体温を招き、免疫力をそこねます。
  6. お肉、卵、牛乳などの動物性たんぱく質と、リノール酸などをつかった油料理をへらそう
    動物性たんぱく質は、消化にエネルギーを要しやすく、未消化のたんぱく質が血中にあふれると、血液の流れが妨げられ、皮膚の解毒代謝、再生能力が低下する。
    n-6系油(リノール酸、オリーブ油、コーン油、サンフラワー油、サラダ油、大豆油、綿実油)は、アラキドン酸カスケードに入り、ロイコトリエンという、炎症をおこす物質を産生するため、かゆみと炎症が悪化する。
  7. 加工食品、刺激物、果物などをとりすぎない
    加工食品、インスタント食品、ファーストフードなどは、空の栄養素で、カロリーばかりあるが、体の解毒代謝に必要なミネラルなどが、何も含まれていません。しかも、添加物が多く、それを解毒するのにさらに体内のミネラルが消費されてしまいます。
    カレー、唐辛子、コーヒー、チョコレートなどは、炎症とかゆみを増します。
    果物のとりすぎは、体を冷やして低体温を招き、アトピーから脱却しにくい体をつくります。
  8. 毎日同じものを大量にとりすぎない
    何事も過ぎたるは尚及ばざるが如しです。偏りのないメニューを心がけてください。

アトピー性皮膚炎の生活養生

    生活一般

    1. 体を冷やす服装、極度な食事制限、単食ダイエットはやめよう。
    2. 本当は、掻くのはダメなのだけど、あまりにもそれによりストレスがたまりすぎるのも考えもの、我慢できないときは、爪を丸く切って、やすりでとぎ、シャツの上からにしましょう。
    3. ステロイドを毎日塗っていた人は、いきなり止めないで。一日3回塗っていたなら2回>1回>かゆいときだけ、というように順に減らしてゆきましょう。
    4. 夜のスキンケアを忘れないように。夜は自分の体から出るステロイドの量が減るのでとくにかゆくなります。かゆみでたまらないときは、夜中にもう一度スキンケアしても大丈夫です・・・冷たいおしぼりでホテリを冷やすのも良いでしょう。
    5. 夏は紫外線、冬は乾燥、そして、季節の変わり目は要注意です。
    6. 入学、就職、結婚、出産など生活に変化を伴うときは要注意です。
    7. 体の具合を見ながら、ウォーキングやストレッチをはじめましょう。
    8. プールに入ったときは、水着の中も入念にシャワーしましょう。
    9. 生理中のパットも刺激の少ないものにして、こまめにとりかえましょう。刺激のあるときは、ワセリンを塗って保護しましょう。

     

    入浴時

    1. お風呂に入る時は、水道水に含まれる塩素の刺激を弱くするため、2番風呂以降に入りましょう。
    2. 洗髪時のシャンプー刺激を減らすため、顔や首にワセリンを塗っておきましょう。
    3. ドライヤーをあてる時は、顔など乾燥させないよう保湿ケアを十分に行ってからにしましょう。
    4. 入浴が済んだら、1秒でも早く保湿ケアをしましょう。
    5. サウナは控えましょう。

    化粧品

    1. 刺激が少なく自分に合うものを選ぼう。
    2. 化粧品は、メーカー毎にPH設定が異なります。なるべく同じ会社の同じラインの物の方が良いとおもいますが、シンプルにお手入れできる物を選びましょう。
    3. 顔に激しく症状が出ているときは、お化粧は極力控えたほうが良いです。どうしてもという時は、口紅くらいのポイントメイクにとどめましょう。
    4. 香水は直接肌につけず、間接的に香らせる程度にとどめましょう。

     

    衣服

    1. ウール、アクリル、ジーパン、麻、デニムなどの生地は、刺激になります。
    2. ガードル、ボディースーツ、ブラなど、体を締め付けるものはかゆみが増します。
    3. ゴム、ベルトなどは、ゆるめにして、直接肌に触れないようにしましょう。
    4. 新しい服は、洗濯してから着用しましょう。
    5. 木綿の肌着や、刺激のないスパッツなどを下着に利用しましょう。
    6. タートルネックのセーターなどを着るときは、刺激の少ない木綿や、絹のスカーフなどで首元を保護しましょう。
    7. ブラを着用のときは、木綿の下着を下につけるようにしましょう。

    住まいと掃除

    1. ぬいぐるみやクッションなどは、なるべく置かない様にして、シンプルな空間を作りましょう。
    2. 布団よりベットのほうが、ダニを防ぎます。
    3. 暖房、冷房の送風に直接あたらない様にしましょう。
    4. エアコンのフィルターは、こまめに掃除しましょう。
    5. 布団は、干すだけでなく、掃除機で細かいチリを吸い取りましょう。
    6. ふき掃除は雑巾ではなくモップで!
    7. 掃除の後は、すぐにシャワーを浴びるのが理想的です。
    8. 洗い物をする時には、木綿の手袋をして、その上からゴム手袋を!
    9. 洗い物をした後は、すぐに保湿ケアを!

    洗濯

    1. 合成洗剤でなく、刺激の少ない石鹸を使いましょう。
    2. すすぎは念入りにしましょう。
    3. 柔軟材や仕上げ剤は、刺激が強いです。
    4. のりつけは、刺激になります。

     

    アトピー性皮膚炎の心の養生

    アトピーは、ちゃんと治ります。

    治る過程で、次々と皮膚にいろいろな状態が起こり、怖くなってしまう方もいますが、これは治癒反応なので心配はいりません。心配になったら、ひとりで悩まずに相談してください。

     

    • 常によい状態、よくなった状態をイメージしましょう
    • 前よりもよくなったところを評価してゆきましょう
    • 何事も前向きに考える訓練をしてゆきましょう
    • 未来を悲観してはいけません。よくなる自分を信じることからはじめます

     

    人は誰しもないものねだりです。何で私だけ…なの?と誰もが思っています。

    ないものねだりで、免疫力をおとすことより、あるものにありがたさと幸せを感じて、免疫力をあげましょうよ。

    温泉、小旅行、趣味など、自分をどんどん喜ばせて、生きるエネルギーと免疫力をあげましょう。

    アトピーの人は、心がとてもデリケートです。人一倍周りに気をつかうし、完璧症です。そして、1の失敗を10くらいに捉えてしまいがちです。

    大丈夫!大丈夫!リラックスして、気を大らかにしてゆきましょう。潜在意識に働きかければ、訓練で性格はかえられます。

    頑張りすぎないけれど、怠惰にはならない。リズムのある生活を心がけよう。

     

    アトピー性皮膚炎に使う食品

     

    アトピー性皮膚炎の方には、状態をみながら以下の清熱解毒薬草を含んだ食品や、養生食品をおすすめしています。これは、特にステロイドの離脱を望む方には、離脱するためのメインエンジンと考えています。というのも、アトピー性皮膚炎は、皮膚に症状がでていますが根本には内臓の機能が絡んでいるからです。もちろん、食事の養生と外用などのスキンケアのみで実行される方も多いのですが、非常に激しく症状が出て、精神的にもつらく、時間もかかりすぎるため、あきらめてしまう方も多いのです。状態にもよりますが、1ヶ月ほどで改善する様子を実感していただけると思います。