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熱中症後の動悸が治らないのは何故???

ここのところ、救急車の出動が非常に多いです!!!
スタッフと、“また、救急車!熱中症やろうね!“と会話しています。
今日はお腹を下した後に、熱中症になり、病院で治療を受けて1週間経つけど、動悸としんどさが治らない!とご相談されたケースのお話です。

さて、夏に多いのが感染性の胃腸炎です。
この方も食事のあと暫くしてから、ひどい下痢が続き受診されたところ、感染性胃腸炎との診断で抗生剤が処方されていました。
下痢は止まったものの、その後ひどい虚脱感と食欲不振で、食事があまり摂れなくなり、今度は38度の発熱、動悸、息切れで受診されたところ、熱中症との診断で、点滴治療を受けられました。
1日おきに点滴に通い、発熱も治りなんとか食べられるようになったものの、動悸が激しく、じっとしていられない、体を起こしているのもしんどいし、横になっても動悸がしてしんどく、汗が滝のようにダラダラと出る!という事でした。

主訴が動悸の場合、心筋のエネルギーが不足していないか、貧血がないかどうか、そして汗のかき過ぎや下痢、嘔吐がないかどうかなどをまず考えます。
そのため、中医学による6つの証の体質診断、血液データの読み取り、そしてここ1週間と普段の食事の内容などをお聞きします。
例えば、血液データは基準値の範囲内にあっても、動悸や息切れがある場合の多くに隠れ貧血があります。
この方の場合、赤血球や血色素が正常で貧血は指摘されなかったけれど、MCV(1個1個の赤血球の大きさ)が非常に小さいため、十分な酸素と栄養が運べない隠れ貧血がある可能性が読み取れました!
また、最初に下痢があり、体液を消耗した後に熱中症になり、汗が止まらない症状があった事から、体液と共に気も消耗してしまう気陰両虚証で、食事の内容からタンパク質が不足し、そのために心臓を始めとする内臓の機能が低下しているような状況が見て取れました。

そのため、失った津液と共に気を補う生脈散と、貯蔵鉄の補給にソイ鉄、そして必須アミノ酸の補給にスッポンと牡蠣エキスから出来た製剤をお勧めしました。
すると、翌日には“動悸が嘘のように取れて、よく眠れてすごく体が楽になったのです“
とわざわざ報告にいらしてくださいました。
おそらく、生脈散によって不足していた津液と気力が速やかに補た事が効果をなしたのだと思われます。
さらに、貯蔵鉄やタンパク質が回復してくると益々安定してお元気になられる事と思います。

このように、下痢で脱水した後には熱中症を容易に起こしやすいので、注意が必要ですし、一度熱中症を起こすと、点滴などで急性の症状は取れても、通常体力の回復に1ヶ月以上もかかってしまう事が多いのは、夏の暑さにより食欲が低下して十分なタンパク質や必要なミネラルが摂れていない事が多い為です。
不足を補うことにより、見事に回復出来ますので、その不足が何であるかを見極める力が最大のポイントになります。

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