バセドウ病について
バセドウ病は、自己免疫疾患のひとつで、甲状腺機能亢進の代表的疾患です。
連続するストレスや、体にとって無理な負担が続くことにより、ホルモン、免疫、自律神経のネットワークが、調整機能を失います。
免疫に狂いが生じると、甲状腺の表面にあるTSHレセプターを異物と認識してしまい、これに対する抗体を作ります。
この抗体がTSHレセプターにくっつくと、甲状腺が刺激され、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。
甲状腺ホルモンが過剰になると、次のような症状が現れます。
- 全身症状・・・やたらと暑い、だるい、疲れやすい、食べているのに体重が低下、37~37.5度の微熱、血圧、血糖値の上昇、コレステロールの低下、肝機能障害
- 顔・・・目つきが鋭くなる、眼球突出、複視、甲状腺の腫れ
- 神経・・・イライラしやすく落ち着かない、集中力の低下、熟睡できない
- 循環器・・・動悸、息切れ、頻脈、心不全、むくみ
- 消化器・・・食欲亢進、または低下、軟便、口の粘り
- 皮膚・・・発汗、かゆみ、脱毛、皮膚の黒ずみ
- 筋力・・・低下、脱力感、震え、骨粗鬆症
等
バセドウ病の養生の仕方
バセドウ病は、20~40代の女性に特に多い疾患です。
この年代の女性は、妊娠、出産、閉経という、体にとっての大きなライフイベントを迎え、ホルモンの大きな変化を伴います。
このような時期に、仕事、家庭、介護などの大きなストレスが重なることで、正常な免疫に破綻を来すことが原因なので、まずは自己のライフスタイルを振り返ることから始めて下さい。
セルフチェック
- 良質な睡眠と十分な睡眠時間が確保されていたか?
- 心も体も悲鳴をあげているのに、無理を強いて頑張り続けていなかったか?
- 顔で笑って心で泣いて・・・などの矛盾したライフスタイルを送っていなかったか?
- いつも何かに追われるような交感神経優位な生活ではなかったか?
- 甘い物、肉類、揚げ物、油を使った料理など、炎症を助長する食品を摂りすぎていなかったか?
- リラックスできる、自分へのご褒美タイムを作っていたか?
これらを振り返り、生活パターンを改めることが養生のベースになります。
漢方でも、これらをふまえて、免疫とホルモンのバランスを整えるものを用いてゆきます。
西洋医学的な治療は、TSHレセプター抗体の値をコントロールして、正常に近づけてゆくことですが、漢方+養生を併せることで、より早く回復できると思います。
バセドウ病の眼球突出の悩みについて
甲状腺ホルモンの値は正常にもどり、西洋薬を服用しつつも上手くコントロールされているが、気になる眼球の突出が元に戻らない・・・・というご相談がとても多いです。
病院では、それはあきらめて!と言われてしまった方も多く、特にお顔の事なので、女性としてはとても気になる悩みです。
中医学で、この眼球突出の原因を考えると、それは湿痰という性質の物で、おけつ同様、改善にかなりの時間を要するものです。
つまり、甲状腺ホルモンにより、過剰に眼球が刺激され、熱をもって炎症を起こしたために、その炎症を冷そうとして、組織液が集り、ゼリー状の湿痰を形成してゆきます。
これが後ろから眼球を押し上げてくるようなイメージです。
炎症が続いた期間が長いほど、湿痰形成もなされ、炎症がひいたあとも、適切な養生をされないと、このゼリー状の湿痰はなかなか散ってゆきません。
まずは、甘いお菓子、ケーキなどの洋菓子、スナック菓子、天ぷら、カツなどの揚げ物、クッキー、菓子パン、肉類の脂肪や食肉加工食品等の、湿痰を形成しやすい食べ物をなるべく遠ざけ、お米を主食にした和食に切り替えることから始めてください。
特に、里芋、たけのこ、アスパラガス、キノコ類、大根おろしなどは、湿痰を取り除き易い食べ物です。
そして、漢方でも里芋科の薬味でできたものを使用してゆきます。
眼球の症状は、まぶたの腫れ、つり目、眼球突出、目の痛み、二重に見える、やたらと眩しい、視力の低下、色の見え方がおかしい・・・など様々な症状がありますので、お悩みの症状に合わせて処方をいたします。
この場合も、原因がホルモン、免疫の乱れなので、それらを改善する漢方+養生も併用されることをお勧めいたします。
漢方養生の効果が実感できるのは、個人差もありますが3~6ヶ月を要するかと思います。
しかし、焦らずコツコツと体の中身を変えてゆく性質の養生は、とても体に優しく、生きる力を養うものです。
漢方と養生を併用した方の喜びの声
漢方と養生を併用した方の喜びの声が届いておりますので、ご紹介します。
バセドウ病
症例・・・20代のときにバセドウ病と診断され、投薬を受けながら寛解と再発を繰り返してきたCさんは、更年期を迎え閉経を境に再びTRAbの値が上昇し、動悸、のぼせ、異常な汗などの症状に悩まされました。
メルカゾールの服用で少し落ち着いたものの、以前にはあまりなかった眩しさ、複視、眼球の突出などが気になり、二種類の漢方を始められたところ、徐々に目の症状が緩和され、3ヶ月後には顔つきも元に戻ってきました。
その後も量を減らして体調を見ながら漢方養生を続けられています。
症例・・・家庭での強いストレスがあり、40代で昨年バセドウ病を発症したHさんは、病院での治療薬を服用しておられましたが、ストレスイベントがあるたびに、TRAbの上昇を繰り返し、眼球の突出が悩みでした。
漢方薬と生活、食養生を取り入れられ、ストレスが起きてもTRAbが上昇しなくなり、安定してきました。
さらに6ヶ月以降から、顔つきも自然になり、とても喜ばれています。
このような喜びの声をたくさん頂いておりますので、現在の体の状態にあう漢方、養生についてまずはご相談くださいませ。
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