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血液検査から気血水の血の状態を読み取る (1)隠れ貧血

血液検査から気血水の血の状態を読み取る

血はその名の通りに血液を示し、全身に酸素と栄養を届け体を温める働きがあります。
西洋医学的な血液は大きく赤血球、白血球、血小板に分類され、そのほかにアルブミンや総蛋白、クレアチニンキナーゼ、尿素窒素、e-GFRなどからも体の栄養状態を読み取る事ができます。

まず、細胞がエネルギー(気)を生み出すためには、十分な酸素が必要です。
その大切な酸素を運搬してくれるのが赤血球ですので、過不足なく存在することが大切です!
赤血球が少なすぎると貧血・・・倦怠感、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れなどを起こす
赤血球が多すぎると多血症・・・血液が渋滞し、のぼせ、頭痛、顔面紅潮、血栓症の恐れ
などの心配があります。

そして次に見るのがヘモグロビンの量で、鉄を含むタンパク質です。
実質的にこのヘモグロビンが酸素を運ぶので、酸素の運搬能力と考えられます。

主にこの二つの値を見て、貧血があるかないかを確認する事が多いですが、赤血球やヘモグロビンが十分にあるのに、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、体を動かすのがしんどい、などの症状がある場合には“隠れ貧血“を疑ってみる必要があります。

一つには、血液の濃さを表すヘマトクリットの値が基準値内でも高めの場合、採決時に脱水気味などの影響で血液が煮詰まってしまい、貧血なのに見かけ上赤血球が多くなっているような状態にある事があります。

また、平均赤血球の容積であるMCVの値は、赤血球の大きさを表します。
十分に赤血球の数があっても、1個1個の赤血球の大きさが小さければ、十分に組織に酸素を届ける事が出来ずに貧血状態になりますし、小さな赤血球がゴチャマンと存在して血液の流れが渋滞を起こすと、それが原因で血圧を上がることもあります。
これが血虚血瘀と呼ばれる七物降下湯の証になります。
MCVは大きすぎても性能が悪くなります。
胃腸障害があったり、ビタミンB12が欠乏する悪性貧血の場合にMCVが大きくなります。

このような隠れ貧血の場合には、まず胃腸の機能を整える事と、貯蔵鉄(フェリチン)を増やして行くことが大切になります。

貧血があると鉄剤が処方されますが、元々胃腸が弱くて栄養の吸収が悪いために貧血になっているのに、鉄剤は特に胃腸に重たく、服用すると吐き気や胃の痛みに悩まされる方が非常に多いです。
そんな時には棗と人参と阿膠を含んだ漢方の養血剤・・・棗参宝や、胃腸に負担がかからない大豆からできた貯蔵鉄・・・ソイ鉄などがありますので、ご利用になると良いかと思います。

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