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夜間の足の攣りと夜間低血糖のの関係

本日は、いつもと同じパターンの食事や運動量、作業量なども変わらないのに、閉経以降にかなりの頻度で夜中に強烈な足の攣りが起きて困っている場合、夜間低血糖が原因になっている可能性がとても高い!!!というお話です。

夜間の足の攣りは本当に恐怖でしかないですよね・・・痙攣の連鎖が起こり、ふくらはぎ〜太ももの内側、外側と順番に発作が起きることもあります。
足の攣りといえば、漢方では芍薬甘草湯が定番で、枕元にお守りがわりに置いている方が多いのではないでしょうか???

足の攣りには、
1、栄養の偏りによるカルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルバランスの乱れ
2、サウナや入浴、運動などで大汗をかいた時、下痢や軟便が続いた時、発熱時や熱中症、冬場就寝時のエアコンや電気毛布、そしてアルコール飲料による脱水が原因のミネラルバランスの乱れ
3、筋肉疲労で正常な筋肉の収縮と弛緩がコントロールできなくなる
4、冷えと血行不良
その他、様々な複雑な原因がありますが、上記の心当たりがなく、生活習慣がほとんど変わっていないのに、年と共に、特に女性は閉経を過ぎてから、急に夜間の足の攣りが激増した場合、夜間低血糖を起こしている可能性が考えられます。

正常な糖代謝の場合、食べ物が入ってきて血糖値が上がると、インスリンが放出され、筋肉にあるインスリンレセプターにインスリンが結合すると、筋肉にあるGLUT4(グルコーストランスポータ4)という糖輸送タンパクが働き、細胞膜を通して細胞内に糖を運びこみます。
これによって筋肉は糖を原料に収縮、弛緩をするエネルギーを作り、余った糖はグリコーゲンとして、筋肉内に蓄えられます。
それにより、血糖値は下がりますし、正常な筋肉の動きが保たれるので、筋肉にとって糖は必要不可欠のものです。

ところが、閉経して女性ホルモンが急激に低下すると、様々な不具合が生じます。
女性ホルモンには、インスリンの感受性を高め、少ないインスリンで血糖をコントロールする働きがありますが、これが低下することで、必要以上のインスリンが出てしまい、低血糖状態になります。
1日に何度もインスリンに暴露されることで、インスリンレセプターの感受性も低下し、筋肉は上手く細胞に糖を取り込めなくなります、
そうなると、筋肉自体の収縮弛緩運動が正常を保たれなくなり、収縮の制御が上手くいかなくなり、大きな痙攣の連鎖が起こります。
また、糖が入ってこないと言う事は、体にとって緊急事態であるために、神経が過剰に興奮しやすくなり、痙攣を誘発します。

夜間低血糖は、ドカ食いや早食い、晩御飯に丼ものやラーメンなどの炭水化物8割食を摂った時に起こりやすくなります。
また、お風呂上がりに、清涼飲料水や甘い炭酸飲料、乳酸菌飲料、アイスクリーム、かき氷などを摂っていませんでしょうか?
これらの飲料には異性化糖(ブドウ糖、果糖、液糖)が使われており、口腔内粘膜から速やかに吸収され、通常の砂糖よりも10倍以上吸収が早く血糖値を急上昇させる糖分が使われています。
お風呂上がり、就寝前にこれらの飲料と摂ることで、血糖値が跳ね上がり、大量のインスリンが放出されて、夜間の就寝時に低血糖を起こすと、急激な足の攣りが始まるわけです。

実際に、お風呂上がりに毎日清涼飲料水を飲んでいた方で、リブレ(24時間14日間の血糖値測定器)をつけて、血糖の動きを観察されたところ、足が攣り始める前に急激に血糖値が下がる・・・というグラフが確認されています。
この方には、まず、ドカ食い、早食いの習慣を改善していただき、決まった時間に1日3回の食事を摂ることや、1口30回を目安によく噛んでご飯をいただき、食事に30分の時間をかけること、お風呂上がりの清涼飲料水を中止して、お水や麦茶などで水分補給をする事、そして、糖の立ち上がりを抑えることに特化した乳酸菌を摂っていただく事などをアドバイスした結果、夜間の足の攣りは激減し、 1ヶ月に 1度も起きるか起きないかくらいの頻度になりました。

また、このように、インスリン耐性が生じてしまった方でも素晴らしい方法があります。
それは、食事の後に15分程度の早歩きをする事です。
筋肉には、インスリンに依存しない糖の取り込みシステムがあり、有酸素運動や筋トレなど、筋肉を収縮させることで、糖輸送タンパクが細胞膜に移動し、血液中の糖を取り込みます。
運動中は筋肉に蓄えられたグリコーゲンをエネルギーとして消費しますが、運動後はグリコーゲンを補充するために、積極的に血液中の糖を取り込みます。
その結果、血糖値は安定化し、筋肉活動もスムーズに行って夜間の足の攣りもなくなります。

今日のお話のポイントは、夜間の足の攣りを予防するためには
1、ドカ食い、早食い、清涼飲料水や甘いものに用いられている異性化糖を摂らない
2、食後15分程度の早歩きで筋肉を育てる
でした!!!

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