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薬食同源、裏を返せば「毒食同源」その①

当たり前のことですが、生きている事は命があると云うことです。その命は寿命が尽きるまで大気と水と食べ物によって保たれます。私たちは毎日食べ物から栄養を摂って、それをエネルギーに変えて活動しています。活動エネルギーに見合った、過不足のない食事を摂ることは未病の基本ですが、病気になりにくい体を作るには、更に注意すべき点があります。

 

一、四季それぞれの天候

◎春は冬の寒気が緩み徐々に温湿となり、風向きが西北から東南に変わります。日照時間が増えて植物は発芽します。

◎春から夏にかけては活動時間が増え、南からの風が増えてエネルギーの消耗も多くなるので体重は減少しやすくなります。

◎梅雨から夏は南からの風で気温と湿度が上がり、蒸し暑くなるので食欲不振や腹痛、浮腫が起きやすくなります。また微生物が繁殖しやすく、食品は腐敗しやすくなります。

◎夏は昼が長く気温が高いので体温が上がりやすく発汗も増えるので、温かい物よりも冷たい食物や飲み物に偏りやすくなります。植物は成長します。

◎秋は夏の熱気が緩み、徐々に涼燥となり、日照時間が減って活動時間も短くなるのでエネルギーの消耗も少なくなり、体重も増加しやすくなります。農作物の収穫時期

◎冬は夜が長く気温と湿度が下がり、ウィルス性の感染症が勢いを増します。この時期は春に向けて体力を温存するべきで、過剰な運動で体力を消耗すべきではありません。食品は保存しやすくなります。

 

二、食品の性質(四気五味)

食品の持つ特性で、食べてから体を温める作用を温性、冷やす作用を冷性、温めも冷やしもしないものを平性とし、熱・温・平・冷・寒の性質があります。また、もう一つの性質として「味」があります。酸味は緩んだ物を引き締め、苦味は熱を下げたり乾かしたり、甘味は緊張した物を緩め、辛味は温めたり毛穴を開き、塩味は塊を溶かす性質があります。「旬」といわれる食品は、その季節の特性に合った性質を持っています。それぞれの性質が食品よりも強い作用を持った植物の根・皮・葉を乾燥させたものを組み合わせ、煎じて薬用としたものが「中医薬方剤」、いわゆる漢方薬です。

 

三、年齢

○幼年期は心身共に成長期ですので、あらゆる部分の代謝が非常に活発な時期です。成長に見合った栄養と量は必要ですが、糖質が過剰になりがちなので注意が必要です。

○青年から成人では、活動量に応じた過不足のない栄養と量が基本ですが、酒やコーヒーなど嗜好品が増え、食事に偏りが出ないように注意しましょう。また、生活様式が仕事中心になりやすく、不規則な生活習慣にならないようにご注意下さい。

○熟年から老年では、若い頃からの生活習慣と老化した身体が不適合を起しやすくなります。習慣はクセですので自覚しにくく、改めにくいのですが、老化とのギャップはどんどん広がっていきます。

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