春先に腫瘍マーカーが上がるのはどうして???
2025年02月25日
ご質問:大腸がんに罹った事があり、治療により寛解していますが、毎年春先、特に花粉の季節に上昇しますが、梅雨を迎える頃に治まってきます。
検査により再発の兆しはなく、経過観察になりますが、気になります。
お答え:腫瘍マーカーの上昇だけでがんの再発や悪化と決め付けられない理由は、炎症反応によっても上昇する腫瘍マーカーがあるためです。
CRP(C反応性タンパク質)・・・炎症の程度を把握するために用いられるマーカー(炎症や組織の損傷により肝臓で産生されるタンパク質)・・・感染症、自己免疫疾患、悪性腫瘍など様々な原因で上昇
CEA(がん胎児性抗原)・・・大腸がん、胃がんなどの消化器系がんで上昇する事が多い腫瘍マーカーですが、喫煙や炎症性腸疾患、膵炎、肺炎、慢性炎症でも上昇
CA19ー9・・・膵臓がん、胆道がんなどで上昇する事が多いが、膵炎、胆管炎など消化器系の慢性炎症でも上昇
という事で、腫瘍マーカーの上昇には体内の慢性炎症が大きく関係しています。
それでは、春先に慢性炎症が起きやすく、それが腫瘍マーカーの上昇を引き起こす可能性として幾つかを挙げてみます。
1、春には花粉や黄砂、PM2.5などが飛び、それらが直接的に体内で炎症反応を引き起こす
2、冬場に溜めた食毒・・・特に腸の粘膜に炎症を起こしやすい、小麦のグルテン、乳製品のホエイタンパク、カゼインタンパク、炎症を助長するトランス脂肪酸を含む食品や、体内で速やかに酸化されやすく、粘膜、臓器、神経に炎症を起こしやすい植物油が春先になって代謝しきれずにオーバーフローし、体の中で慢性炎症を起こしている状態
3、春先に多い免疫バランスの乱れ・・・小麦や乳製品などの異種タンパクの慢性的な暴露に加え、花粉や黄砂等のアレルゲンが加わり、免疫のバランスが、自己を攻撃するアレルギーや自己免疫疾患に傾き、がんや感染症に対する免疫が低下傾向にある
4、長く続いた冬の寒さにより、腸管の運動が鈍くなり、その結果増加した悪玉菌が腸内で炎症性物質を放出
5、春先の三寒四温・・・気温の急激な変化により、交感神経が過剰に緊張し、免疫細胞の好中球が優位となり、好中球の武器である活性酸素が増えて炎症が起きる
6、春先は環境の変化が大きく、ストレスが炎症を助長する
7、冬場の食事のタンパク質不足でアルブミンが不足していると炎症が収束しない
季節が進み、暖かくなり花粉もおさまり、リラックスできる気候になり炎症が自然収束すれば良いが、食事による異種タンパクの暴露や植物油による炎症は季節を問わず状態を悪化させるので、完全に控えた上、状況によっては清熱解毒(炎症を解毒する)の漢方養生や、アルブミンの不足(気血)を補うなどの養生で対応します。