高級霜降り牛肉で下痢をするのは何故?
2025年04月18日
お花見の季節、BBQや焼肉の会食機会が増えて、数人の方から同じ質問が来ました!
私自身も同じ悩みを持っているので、ブログに取り上げてみました!
ご質問:赤身が多く脂肪分が少ない牛肉なら大丈夫ですが、A5ランクの霜降り高級肉などを食べると、6時間後くらいから腹痛、お腹の張り、吐き気と7〜8回の酷い下痢で苦しみます。
最後には泡沫状の白っぽく水に浮く脂肪便や粘液が排泄され、やっと下痢が止まります。
同じ脂身でも豚肉なら下りません・・・その違いは何でしょうか?
回答:
◉まず、食べたお肉の消化経路を見てみましょう!
1、お肉をよく噛んで食べる事で、舌根から出る唾液中のリパーゼが肉の脂の消化を助けます。
これが口腔内での第一の脂肪消化です。
2、胃では肉のタンパク質が消化されますが、脂肪は消化されずに十二指腸に送られます。
3、十二指腸では、肝臓で作られ堪能に貯蔵された胆汁が分泌され、水と脂のように混ざりにくい脂肪を乳化させて脂肪分解酵素の作用を受けやすいようにします。
さらに、膵臓から脂肪を分解する酵素であるリパーゼが分泌され、脂肪酸とモノグリセリドに分解されて小腸から吸収される状態を作ります。
この経路の手順がうまく踏まれていないと、肉の脂が消化できません。
1、十分に噛んで唾液の恩恵を受けていなし
2、肝機能の疲れにより、十分な胆汁が分泌されないか、処理出来る量以上の脂を摂ってしまった
3、元々、脂を含んだ牛肉をあまり食べる習慣がない人では、それを代謝する酵素が作られず、分泌が少ない
4、普段の食事がかタンパク質が十分に摂られていない、あるいは胃腸の働きが低下していると、十分な酵素が作られない
◉次に、牛脂と豚脂では脂の性質がどう違うのかをみてみましょう
牛脂にはオレイン酸が少なく飽和脂肪酸であるステアリン酸の割合が高く、融点は40〜50度と高く常温で固体で消化液の作用を受けにくい性質があります。
これに対し、豚脂には、ステアリン酸よりも不飽和脂肪酸であるオレイン酸が多く含まれ、融点も33〜46度と牛脂よりも低く、体内に入っても液体で消化酵素が働きやすい脂です。
したがって、消化酵素を十分に持っていない人が、消化されにくい牛脂を沢山摂ってしまった場合、未消化のまま脂質が小腸に送られると、腸が激しく刺激されて腹痛や下痢を起こします。
白い便が出たということは、胆汁が十分に排泄されていない証拠で、能力以上の脂を摂ってしまったと言う事だと思います。
さらに、ステアリン酸はアルカリと混ざると石鹸を作るので、洗顔フォームなどの原料にもなる脂です。
未消化のステアリン酸が腸液に触れて石鹸化したために、泡沫状の不思議な便が排泄され驚かれた事と思います。
◉次回、このような苦しみを避けるために
1、まず、一度に沢山食べない事
2、普段もちょこちょこと牛肉を少量でも食べる事で、消化酵素が作られる
3、肉が柔らかくても、十分に噛む
4、ビールなどの冷たい飲料を一緒に摂ると胃腸が冷えてますます消化に負担がかかり下痢しやすくなる
5、消化酵素を含んだ大根おろしを一緒に摂ったり、野菜を摂る事で噛む回数が増える
6、肉を食べる前にウルソ、山楂、肝こうせん・・・などの消化薬を飲んでおく
林薬局では、このような体質でお困りの方のご相談を沢山お受けしています。
消化力を高める漢方もございますので、是非ご相談くださいね。