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金実不鳴と金破不鳴

風邪とインフルエンザが猛威を振るっており、発熱、喉の痛み、鼻水や咳の他にも、声が全く出なくなる症状が相次いでいるようです。

声が嗄れている事は音啞といい、比較的に軽症です。

これに対し完全に声が出ないのは重症で、失音といいます。

病気の初期にこれらがあれば実症で、金実不鳴です。

金は肺臓を指しますので、肺に邪が入り、寒熱の両気が肺を犯し肺の発語機能を失った事を言います。

具体的には、喉や声帯に炎症を起こし、そこへ痰が集まり声帯が浮腫んで振動出来なくなり、声が出なくなります。

この時は、今起きている炎症をいち早く冷ます事と、痰を取り除く養生が大切です。

清熱解毒の養生には、タンポポ茶とぎんぎょうさんなどの清熱薬を用い、とにかく声を出そうとしてはなりません。

ひたすら無言の業です。

大根おろしや、レンコンのすりおろし汁を飲みます。

痰を取るには、里芋科の食べ物がよく、せんざんしょよという漢方食品も里芋科のものです。

その他に、昆布茶も痰を除く働きがあります。

これに対し、病の後期になって声が出なくなるものは、金破不鳴と呼び肺の気と陰を消耗して炎症が起きたもので、気と陰の両方を補って声帯を回復させる事が大切です。

連続して声を出しすぎることや、ボーカルの方の歌い過ぎなどはこちらの場合が多いようです。

特徴として、喉に乾燥があります。

気と陰の両方を補う生脈散や、スーパー紅景天などを用います。

食べ物としては、山芋、長芋、貝類、昆布、レンコン、鶏肉などをお勧めします。

また、両腕の付け根の部分にある、中府という肺経の募穴を温灸器などでしっかりと温めてください。

こちらの場合も、早く回復させるためには、極力喋ろうとしない事です。

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