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コロナ後遺症に思う

2020年2月以降、長引く微熱、強い倦怠感と疲労、呼吸が苦しい、動悸、長引く咳や下痢、食欲不振、吐気などの症状が、出たり消えたりを繰返すという現象が世界各地で報告され、未だに続いています。新型コロナが五類扱いになって、以前の日常が復活しつつありますが、弱毒化していても感染は収束しておらず、辛い症状や後遺症で仕事に復帰困難な方も多数いらっしゃいます。

 

過去にコロナに感染したり、ワクチンを打った方が、無理をした後などにしばしば後遺症と思われる症状が発現する事について、私なりの考えを述べてみます。

 

まず、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、少しの労作の後、極端な疲労感その他の症状をきたす疾患です。中国では過去にSARSのあと、ME/CFSが多発したことが報告されていますが、同じ仲間である新型コロナ(Covid-19)の感染後も、同様の事が起こっています。ここで一番大切な事は「怠くなる事をしない」です。「体力(筋力)維持のために」と思って過剰に運動すると、その後急激に状態が悪くなる場合があります。

 

疲労感がある場合は「活力不足の未回復」ですから決して無理をせず、屋内で軽く動くのみにしてください。体力の消耗を抑えるだけでも、症状の悪化を防ぐことができます。

 

私自身も昨年7月に体調不良がありまして、症状から見ると何かしらのウィルスに感染した可能性がありましたので、手持ちの抗原検査キットを使用してみました。結果は陰性でしたので「馬鞭草+タンポポ茶」と、証に合った漢方薬で数日で治まりました。

 

ところが、それ以降遠出した翌日や、急な気温の変動の後などに、激しい倦怠感で起きられなくなったり、吐き気、食欲不振、下痢などの消化器症状が3〜7日間続くなどの症状を何度か体験致しました。

 

これは、疲れた(体力消耗)時・体力の回復が十分でない時には免疫機能も低下し、体内に残っていたウイルスが再び勢いを増すための「ぶり返し」現象なのか、あるいは過去のウィルス感染で作られた抗体が、再感染で侵入したウィルスに過剰反応してしまう免疫による物なのかは不明です。

 

新型コロナの感染後の症状群は、骨・筋肉・脳・消化器官などに慢性(体力消耗性)の炎症を起こしている様子です。漢方用語で「気陰両虚」という体質は、潤いと活力源の不足をいいますが、身体中の骨・筋肉・脳・消化器官も含めた粘膜に、乾燥性の炎症を起こします。文頭の症状の殆どが当てはまります。

 

個人的かつ西医的には、コロナ後遺症の殆どは自律神経の失調症状と慢性炎症症状と考えています。これらを予防する為には、自律神経の働きが偏らないように普段の生活に気をつける事です。例えば、暑さ寒さなどの気候的変化に順応することです。暑ければ涼しくして、寒ければ温める事です。また、熱い食べ物の後に冷たい食べ物を摂ったりする事が続かない様に調整することです。つまり、激しい交感神経の緊張があった後には、強い副交感神経の反射が起き、自律神経のスイッチの振幅が大きくなる事を感じています

 

以下は当薬局流のコロナ後遺症の対策処方です。

 

1、適切な補剤で体力を再建・維持することが根本養生です。

具体的な方剤については、お一人お一人の不足に応じて補う必要があるので、ご相談ください。

 

2、慢性炎症対策は腸活です。

朝一番の笹エキスや野菜スープで、自らの腸内環境を整え、抗炎症、抗酸化物質を作りましょう。炎症を助長するトランス脂肪酸や血糖値スパイクを起こす糖質食品は控えてください。

 

3、強い倦怠感、疲労感、筋肉のだるさ、食欲不振、吐き気、お腹が動かない・・・などの症状に対しては柴胡剤を用います。馬鞭草、柴葛解肌湯、柴胡桂枝湯、補中益気湯などで改善しています。

 

4、下痢が続いて脱水気味の方は、生脈宝で気陰(体力)を補い、柿タンニン、紅参、六君子湯などで胃腸を建て直します。冷たい飲食、揚げ物、激辛はNGです。

 

5、長引く咳・・・ご相談ください。

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