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脾虚の人の食養生・・・お腹が空かない、少し食べてもお腹がいっぱい!

東洋医学で言う“気“は食べた食物から作られ、それをやっている臓が脾なので、気(エネルギー)が少ない人を脾虚とも言います。

脾虚の人は、食べ物を少ししか食べられない事が多く、ほんの少し食べてもお腹がパンパンに張って苦しく、次の食事時間になってもお腹が空かないことが多いです。
また、ややもするとお腹が張ってきて痛みを生じます。
これはどちらともガスの仕業で、消化管が動いていないために、食べた内容物が消化管の中で発酵しガスを生じさせます。
通常、消化管が動いていれば下へ下へ送り出しますが、止まっているために生じたガスを動かす事ができず、ボンレスハムのようにガスの風船が出来てこれが神経を圧迫して痛みを起こします。
そのため、腸のいろいろな場所でガスの渋滞を起こし、水分が吸収されてしまって硬めの便がほんの少し出るとガスが排泄され、またしばらくすると少し便が出て、またガスが出るというような繰り返しを起こします。
ガスは少しづつ動くと痛みの箇所が少しズレる感じです。

では何故、消化管が止まってしまうかというと、少ししか食べられなかったり、胃腸の吸収力が弱いために、エネルギー(ATP)が安定して供給されないため、筋肉が収縮〜弛緩を繰り返すエネルギーが枯渇してしまっているわけです。
ですので、安定した炭水化物が供給される事で、消化管は水を得た魚のように運動して本来の働きを取り戻す事ができます。
又、消化管は筋肉で出来ているので、養うためにはタンパク質が必要ですし、消化酵素もタンパク質から出来ていますので、毎回の食事で少しでもタンパク質を補いたいです。

脾虚の方が起こしがちの食事として、食べられないから甘いものやお菓子、口当たりの良いバナナやフルーツ、ハチミツの入ったヨーグルトなどでカロリーを摂ろうとしたり、オリーブ油やアマニ油などでエネルギーを賄おうとする方が多いのですが、どちらもさらに状況を悪くするのでNGです!!!

甘いものやフルーツなどの糖質は、血糖値を急上昇させ、膵臓は急いでインスリンを放出する事で、低血糖が起きます。
それを回復させるために、糖新生というシステムが働き、自分の筋肉や内臓を分解してエネルギーを作ろうとするために、ますます筋肉が萎えて消化管も痩せ細ります。
また、甘いものが入ると、浸透圧の関係で消化管の運動が停止しますし、糖濃度を薄めようとして大量の胃液が出てくるため、逆流性食道炎を起こしたり、胸焼けや吐き気を起こします。
又、オリーブ油やアマニ油も含めた植物油は、体内で速やかに酸化されやすく、消化酵素の出口である膵管や胆管に炎症を起こします。

もうお気づきかと思いますが、東洋医学の脾とは、西洋医学的には膵臓の機能と一致します。
膵臓は、たった12〜15センチの小さな臓器ですが、エネルギー産生の元である糖のコントロールと、消化液を出す消化吸収力とを兼任していて、これがすなわち脾の働きになります。

したがって、脾虚の方は血液検査をすると、血糖値やHbA1cが低い、エネルギーの蓄えである中性脂肪が100を割っている、貧血、アルブミンや総蛋白が低い、肝機能、腎機能の値もタンパク質不足で低い、アミラーゼなどの消化酵素も少ない・・・などのデータが見られる事が多いです。

それでは脾虚の方の食事法です!
1、基本は決まった時間に1日3回少量を30回ほどよく噛んで食事を摂りますが、脾虚が進んでいる方は1日6食くらいの少量頻回食にし、少しづつよく噛んで食べます。
2、脾虚の方の主食は何といってもお米が良いです。
ミートボール〜ゴルフボール大のおにぎりを作って時間を空けてよく噛んで食べてください。
3、おにぎりの中身に、鮭やアサリの佃煮などを入れたり、きな粉をまぶしたおにぎりも良いです。
4、おにぎりがきつい方は、10倍粥の花粥(具の入ったお粥)を作ります。
カップ1の米にカップ9の水の割合でお粥を作り、炊き上がりの10分くらい前に、鶏肉や卵、人参、カボチャなどお好みの具材を入れて炊き上げ、少量ずついただきます。
5、おやつに、豆乳ヨーグルトにきな粉を入れたものや、黒胡麻ときな粉のホットドリンクなどがおすすめです。
6、漢方では、胃腸の粘膜を整え吸収力を高めてゆくササエキス、胃腸を温めて動かす発酵紅参や大熊柳、胃腸を持ち上げる補中益気湯、胃酸の逆流を鎮める鬼菊、消化を助ける山楂神、エネルギーの安定供給に特殊乳酸菌ルコスなど様々なサポートアイテムがあります。
貧血を改善するソイ鉄、必須アミノ酸を補給するエネスポ、エネルギー効率を高めるコルマータなどの補剤も必要ですが、まずは胃腸の元気を取り戻すことが先決になります!

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