がんの養生3 がんの食養生に糖質制限は有効か?
2022年02月23日
がんの食養生に、糖質制限をしておられる方は多いと思いますが、中には徹底的に炭水化物を制限しておられる方を見かけます。
ケトン体からエネルギーが作られるから大丈夫との見解もあるようですが、不足したブドウ糖を賄うために、脂肪やタンパク質から糖新生すると、脂肪も筋肉も剥られて体はどんどん消耗し、体力、免疫力は恐ろしく低下してしまいます。
いくらがんの秤量責めと言っても、これでは残り80%近くの正常細胞に栄養が届かず、病気と闘う体力が低下してしまっては、元も子もありません。
又、糖質が不足して最もダメージを受けるのは脳、筋肉、心臓で、認知症や老化を招く恐れがあります。
2021年、11月のキャンサーサイエンスという学術誌に掲載された論文によりますと、45〜74歳の日本人を対象に、17年低炭水化物食をした群では、胃がんを除いた全てのがんにおいて、発がんリスクが8%高まったという結果が報告されており、さらには炭水化物を減らす代わりに動物性タンパク質の量が増えると大腸がん11%、肺がん16%と発病リスクが増えたという結果が出ています。
又、2018年にランセットという学術誌に掲載されたアメリカの論文によりますと、総カロリーの50〜55%を炭水化物で賄っている群が最も発がん率が少なく、長生きであって、それより多くても少なくても寿命が短かったことが報告されており、2020年の日本人での研究でも同様の結果が得られています。
この要因として、炭水化物の中には糖質の他に食物繊維が多く含まれる事が考えられます。
これらの事より、糖質がらみのがんの食養生としては
1、甘いお菓子や菓子パンなどは控えた方が良い
2、1日のトータルの食事の中で、5割を精製されていない炭水化物(雑穀、玄米、オートミール、そば、全粒粉など)から摂る・・・バランスの良い和定食(主菜、副菜、穀物、味噌汁)
3、食事の最初に水溶性食物繊維(植物力スープ、野菜スープなど)や、特殊乳酸菌ルコスを摂り、急激な血糖値の上昇を避ける
がポイントになります。