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がんの養生4 検査値からわかる養生の指標

がんの治療中の方は、腫瘍マーカーの上下で気持ちが動揺してしまう方が多い様ですが、腫瘍マーカーはがん以外の炎症でも上がる事がありますし、がんが壊死して行く時にも急上昇する事がありますので、それに捕われて返って免疫力を下げてしまう様な事がありませんようにご注意ください。

 

中医学では、体力が落ちていれば補う!邪の勢いが強ければ瀉す!が大原則です。

体力が落ちているとは、血液中の栄養素が不足していたり、がんと戦う免疫力が損なわれているような場合を指し、邪の勢いが強いとはがんの分裂増殖を促進させるような炎症が強い事を指します。

 

皆様が毎回もらって来られる血液検査表で、この二つの値をチェックする事が出来、養生の方針を立てることが出来るのでご紹介します。

 

一つはPNI(Prognostic Nutritional  Index) 予後推定栄養指数と言って栄養状態の評価をする値です。

消化器の術後合併症のリスクや心不全の予後予測に使われてきましたが、最近ではコロナの重症化と死亡リスクにも相関があることが報告されています。

 

PNIは、アルブミンの値と総リンパ球数(白血球の数Xリンパ球の割合)から算定できます。 総リンパ球数は、例えば白血球が6000でリンパ球の割合が35パーセントの場合、

6000X0.35で、2100です。

 

PNIの計算式は、10Xアルブミン数値+0.005X総リンパ球数

で表され、アルブミンが4、総リンパ球数が2100であれば、

10X4+0.005X2100  即ち40+10.5で50.5となります。

PNIは50~60が良好な状態で、手術に耐えられる、抗がん剤治療を続ける体力がある、予後が良く合併症の危険率が低いなどの目安となります。

PNIが45以上あれば手術可能だが、40を割ると手術は危険

乳がんではPNIが37を割ると再発転移リスクが高くなる との報告があります。

また、中国武漢大学病院からの報告では、COVID-19の重症患者のうち、生存復帰され方々のPNI中央値が37.21 死亡された方々の中央値が33.4であったとされています。

 

ご自分の検査データーでPMI値を算出していただき、PNIが45以下の場合は、治療を続けられるにしても、食養生でタンパク質を十分に補う、リンパ球を増やす食材をしっかり取り入れる、そして漢方にて適切な補剤(アルブミンを上げる、貧血を改善する、リンパ球を増やす、エネルギーを作るなど)を状況に応じてアドバイスさせていただきます。

40を割っている場合は、まず体力をを回復させる事が大切で、消耗する治療によって命を落とさないようにまず養生する事をおすすめいたします。

特に、残り1回の抗がん剤を無理して、命を失うような事を過去のお客様で経験していますので、早めにご相談ください。

 

もう一つは炎症の目安となるNLR 好中球/リンパ球の割合で、3.7以上になると炎症の勢いが強く予後が悪いと言われています。

好中球は細菌を殺したりする時に上昇しますが、増えすぎた好中球は活性酸素を増やして炎症を助長したり、がんが生き延びるための血管新生を助ける働きがあり、抗がん剤がよく効いていると好中球が低下します。

又リンパ球は免疫力を高め、がん細胞を消滅させる働きがあるので、35パーセント以上の割合が理想です。

COVIDー19では、重症化から脱した方のNLRが3.41 亡くなった方では12.51と伝えられています。

NLRが高い場合には、積極的に清熱解毒の養生や漢方を取り入れて、猛烈な慢性炎症やサイトカインストームを抑制してゆくことが大切ですが、NLRが高いがPNIが低い方では、体力を補いつつ、炎症を冷ますという補寫併用の養生が大切になります。

 

春は炎症が再燃しやすく、自律神経も乱れやすい季節ですので、気になる方は検査データを持ってご相談くだされば、今の状態に即した養生をアドバイスさせていただきます。

 

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